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市川春子著『宝石の国』を見てフォスの絶望はまだ続くなと感じた話

市川春子著の『宝石の国』を友人に勧められてよんでみたらかなりしんどくなったので記事にしようと思います。
 
 

 

 
注意
ネタバレが入る可能性があります
 
 

宝石の国とは

粉々になっても破片さえ集めれば再生する体を持つ「宝石」たちの物語。 自分達を装飾品にしようと襲いかかってくる「月人(つきじん)」との戦いに備えつつ、日々の役割を分担して暮らす彼ら28人。


その中に、月人との戦いに加わることを望みながらも、その身体の脆さと才の無さによって何の役割も与えられていなかったフォスフォフィライト――通称フォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から、博物誌を編む役割を与えられる。

ようやく与えられるも地味な仕事に、鬱憤を募らせるフォス。
そんな彼はある日、夜にたった独りで見回りをしている孤独な宝石・シンシャに出会う。

dic.pixiv.net

 

タイトル通り人間のように意志を持ち自由に動く宝石たちの物語です。

ここでは人間がいた時代が「古代」と評されるほどはるか未来の話になっています。

ここでは宝石たちが戦闘など様々な役割を持って暮らしています。

 

主人公のフォスは宝石たちの末っ子的存在で、愛されてはいますが硬度が低く戦闘向きではなく、なおかつ不器用のため300歳になっても決まった仕事がないままでした。

そのフォスに与えられた仕事は博物誌を編むこと。

 

「地味」と嫌がりつつもその仕事をする中でフォスは博識なシンシャに出会います。

シンシャは自身の能力をうまく使いこなせることができず、一人敵が現れない夜を見回るという役割があります。

しかし、シンシャはいつか宝石たちにとっての敵である月人が自身をうまく使いこなしてくれるのではないかという自殺念慮な思いを抱えていました。

フォスはそんな彼に役割を与えたいという思いを抱くところかあ物語はスタートするのです。

 
そんな宝石の国ですが、そのタイトル、ストーリーとは裏腹にファンからは『地獄』と評されています。
私は全巻読んだ後に「自分のためだけに制作されたオートクチュールのキラキラで美しい針に1mmずつ心臓を突かれる絶望感」をもちました。
Twitterの検索欄では予測の欄に「鬱」と書かれたりなどかなり地獄な作品となっています
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なぜ地獄と呼ばれるのか

 
宝石たちに建前上「死」はありません。砕けてもそれは仮死状態になるだけ。
なので「死」に対する意味での「地獄」ではないでしょう。
 
私が思う「宝石の国」の地獄は、「主人公の空回りさ」だと考えます。
 

主人公フォスの性格

 
先述しましたが、主人公フォスの性格はみんなから愛される末っ子気質です。
わがままでそのくせ不器用、口と度胸だけがいっちょ前で自他ともに認める「役立たず」です。
 
実際仕事として割り振られた博物誌の仕事も途中で完全おざなりになりましたしね…。
じゃあそのフォスが何に割いたっていうとシンシャの役割を与えること。
それすらも勢いで言った約束でしたし、難航してそのまま冬の時期になったフォスは紆余曲折あり、ついに念願の見回りの仕事をもらえることになります。
 
一応これまでがアニメまでのストーリーになりますが、気になるのがシンシャの話。
 
フォス、途中から完全にシンシャのこと忘れているんですよ…。原作はもうなおさら
 
まあしょうがない部分もあるっちゃあるのですが、それにしてもシンシャに期待をさせといてそれはないんじゃないの?と思う方も多いと思います。
勢いで言ってしまったのであれば、それをなるべくどうにかして見つけようとするものですが、漫画を読む限りフォスにその様子はなく途中のアドミラビリスなどのゴタゴタで完全にシンシャのことは頭から飛んでしまっているんですよね…。
 
シンシャはシンシャでフォスとの約束を覚えており、フォスに期待している描写があるのが結構つらい…それでフォスに「約束破りやがって!」って怒らないシンシャなんてやさしい子なの。
 
原作ではさらにそれが加速しており、結果博物誌の仕事、シンシャとの約束などさまざまなことが中途半端になっているんですよ
 
これ、フォスの根本が何か問題があるんじゃ?と思うんですよね

 

フォスの足りていないもの

フォスの根本の問題、つまり足りていないものってなにか。
これはフォス以外の周りの宝石たちがヒントになっているかもしれません。
 
フォス以外の宝石たちはパートナーしかり、ファッションだったり何かしら自分といえば○○と呼べるものを持っています。
それは自分にとって大切にしているものになります。
 
シンシャも一見孤独そうに見えて大切にしているほかの宝石たちのために夜に生きるのを選んだ子ですから、シンシャの大切なものは仲間の宝石たちになるのでしょう。
 
ではフォスの大切なものってなんでしょうか?
 
その答えがないことがフォスの足りていないものの原因ではないでしょうか
言葉を変えるとフォスは軸となるものがないんです
 

フォスはどうするべきなのか?

そもそもフォスの問題として「自分になにが足りていないかわからない」ということがあります。

原作10巻のカンゴームの忠告はまるっきりきいていませんしね…

 

そもそもフォス自身なにがしたいのか、フォス自身わかっていない可能性が大…。

「役割」を求めすぎているせいで、そのすべてが中途半端になってしまっているんですよね

 

例えるならば「内定」にこだわりすぎて、ろくな業界研究をしない就活生のよう。

 

フォスがどうすればいいかというとまず「自分が何を欲しているかを自覚すること」だと思います。

 

自分をおろそかにするからこそ他者をさらにおろそかにしてしまうフォスの無自覚の残酷さが痛々しさがまるで自身の宝石を表しているように感じます。

 

しかし、フォスがそれを自覚することは原作を見る限りしばらく先のことになってしまうでしょう。

どの宝石たちも自身の軸に満たされています。

だから、軸のないフォスの気持ちに寄り添える人物って誰?となると金剛先生くらいしかいないんですよね。

 

しかし、金剛自体フォスに1から10まで指摘するほど丁寧ではないでしょう。

そもそもそのすべを持たない可能性だってあります。

 

となるとそれを自覚させられる人物って今のところ作品の中にいないんですよ。

そのうちにフォスはさらに破滅の道へ進んでいくでしょう。

 

まとめ

 
鬱のボジョレーヌーボーと呼ばれる宝石の国ですが、そのボジョレーヌーボーはさらに更新されそうだと感じました…
 
ではでは!